カーペットリンサー
取扱説明ガイド

最大約75℃の温水噴射で頑固な汚れも効果的に分解・洗浄
強力バキュームシステム搭載 ・ 約1時間で速乾 ・ 多用途洗浄対応
製品の特徴と基本仕様

カーペットリンサー「SPHERE 32337J」
高温洗浄と強力吸引で業務用清掃を効率化する
プロフェッショナル向けカーペットエクストラクター
主な特徴
高温洗浄
最大約75℃の温水噴射で頑固な汚れも効果的に分解
強力バキューム
汚水と緩んだ汚れを素早く回収し乾燥時間を短縮
速乾仕上げ
洗浄後約1時間で歩行可能な状態に乾燥
多用途対応
床だけでなく車内シート・ソファー・階段など狭所も洗浄可能
基本仕様
各部名称

部品一覧
- 1. 回収タンク
- 2. 清水タンク
- 3. 回収タンクリッド
- 4. 清水タンクリッド
- 5. バキュームスイッチ
- 6. ポンプスイッチ
- 7. ヒータースイッチ
- 8. 電源コード
- 9. バキュームホースコネクター
- 10. ラッチ
- 11. 回収タンク・ハンドル
- 12. 温水供給ホース取付口
- 13. 自在車輪
- 14. ドレンプラグ
- 15. ヒーターランプ
使用前の準備と注意点
使用前の準備
設置と接続
安定した場所に設置し、ホース類を接続
清水供給ホースとバキュームホースを本体とウォンドに確実に接続
清水タンクへの投入
清水または洗剤希釈液を投入(満量18L)
専用洗剤「バルチャーブルー」を使用、発泡性の強いカーペットシャンプーは使用不可
消泡剤の投入
回収タンク満水あたり約15cc(付属計量キャップ1杯程度)
泡の発生を抑え、吸引力低下や故障を防止
電源コードの接続
2本のコードを必ず別々の回路に接続
同一回路に接続すると合計26Aとなりブレーカーが落ちます
電源接続の重要性
電源の要点
- 下側コード: バキュームモーター+ポンプ用(約11〜12A)
- 上側コード: ヒーター用(最大15A)
- 合計電流: 約26A(一般的な家庭用回路の15Aを超過)
- 延長コード使用時: 太い線径(許容15A以上)のものを使用
- コードリール: 必ず完全に巻きほどいて使用
重要な注意点
- 空焚き状態でヒーターを使用しない
- 濡れた手でプラグの抜き差しをしない
- 同一回路に他の電気機器を接続しない
- コード・プラグの異常な発熱や異臭がある場合は直ちに使用中止
- ポンプの空運転は厳禁:清水タンクが空の状態でポンプを作動させると、ポンプの損傷につながります。必ず清水が入っていることを確認してからポンプを作動させてください。
- ヒーターの空運転も避ける:ヒーターを空運転すると、過熱による故障の原因となります。使用後は必ずヒータースイッチをOFFにしてください。
- バキュームの空運転はOK:ホースや配管内の乾燥を目的としたバキュームの空運転は推奨されています。ただし、長時間の連続運転は避け、2〜3分程度にとどめてください。
補足:応急的なワンコード運用について
手順 | ポイント | 補足 |
---|---|---|
① 通常どおり二重電源で予熱 | 2 本のプラグを別々の回路に挿し、ヒータースイッチを ON。ヒーターランプが消灯する=約 75 ℃到達の合図 | 4〜6 分が目安。ここまでは取説どおりに行う |
② ヒーター側プラグを抜く | ランプ消灯後、Circuit 2(ヒーター側)だけ壁コンセントから抜く。ポンプ/バキューム側(Circuit 1)は挿したまま | ヒーターは遮断され、以後は常温水リンサーと同じ負荷になる |
③ 温水が冷え切る前に作業 | タンク満量(18 ℓ)なら、外気25 ℃の室内で 15 分後 ≈ 60 ℃/30 分後 ≈ 50 ℃ が目安です | 温水効果を保てるのは体感20 分程度。50 ℃を切ると油汚れの分解力が急落する |
④ 再加熱したいとき | 作業を止めてプラグを差し直し、ヒータースイッチON→再度4〜5 分予熱 | 濡れた手でプラグを触らない。プラグ部が熱を持っていないか確認 |
安全と保証の立場:
メーカーは「常時2 本接続」を推奨しています(仕様に電源2 本取りと明記)。ワンコード運用は現場に回路が足りない場合の応急策と考え、恒常的な使い方にはしないほうが無難です。
延長コードは 15 A 以上・5 m 以下を推奨。細いドラムコードは電圧降下で再加熱が遅くなるので避けてください。
使用手順
作業の流れ
ヒーターの加熱
ヒータースイッチをONにして4〜5分予熱
設定温度(約75℃)に達するとヒーターランプが消灯
洗浄作業開始
バキュームスイッチとポンプスイッチをON
ウォンドのトリガーレバーを握ると洗浄液が噴射
タンクの管理
回収タンクが満水になったら汚水排出・清水補給
作業再開時にも消泡剤を適宜追加
作業終了と後処理
ポンプ・ヒータースイッチOFF後、バキュームで残水処理・乾燥。最後に全スイッチOFF
詳細はタブ6「作業後の基本メンテナンスフロー」参照
効果的な洗浄テクニック
推奨:2回引き方式
1回目:洗浄液噴射
レバーを握り洗浄液を噴射しながら引く
2回目:バキュームのみ
同じ場所を水を出さず再度引いて回収
時間効率の良い作業の流れ
予熱
作業
排出
付け
作業のポイント
- 洗浄の基本: ゆっくり確実に引くのがコツ
- 2回引き方式: 繊維をできるだけ乾いた状態に仕上げ、約1時間程度で歩行可能
- タンク管理: 回収タンクが満水になるとフロートが上昇し吸引停止
- 後処理の重要性: タブ6の「作業後の基本メンテナンスフロー」を参照
- 保管前: タンクを完全に空にし、乾燥させた状態で保管
メンテナンス方法
メンテナンススケジュール
毎日のメンテナンス(使用4時間ごと)
- 回収タンクの清掃と汚水廃棄
- フロートの点検と清掃
- 清水タンク底部フィルターの清掃
- 電源コードの清拭と点検
- 本体の水滴・汚れの除去
週次メンテナンス(使用20時間ごと)
- バキュームホースの穴・裂けの点検
- スプレーノズルの洗浄と噴霧状態確認
- 電源コードの被覆劣化・プラグ変形確認
- 各種可動部への注油(クイックカプラー等)
月次メンテナンス(使用80時間ごと)
- 走行部(キャスター等)の潤滑油塗布
- 本体各部の水漏れ・ネジ緩み点検
- ヒーター部のスケール(水垢)除去
- 全フィルター類の詳細点検と洗浄
重要メンテナンスポイント
ヒーターのスケール(水垢)除去
熱効率低下
詰まり・故障の原因に
◆ 実施時期:数十時間おきまたは性能低下時
◆ 方法:専用スケール除去剤またはクエン酸溶液を使用
◆ 手順:ぬるま湯と除去剤を入れ、循環させて洗浄後、清水ですすぎ洗浄
作業後の基本メンテナンスフロー
ポンプとヒータースイッチをOFF
まず噴射と加熱を停止します。
バキュームで残水吸引 (バキュームONのまま)
回収タンク側にホースを向け、清水タンクやホース内の残水をしっかり吸引します。
ホース内・配管内を空運転で乾燥
バキュームONのまま2〜3分間空運転し、内部を乾燥させます。
重要:ポンプやヒーターの空運転は故障の原因となります。バキュームの空運転のみ2〜3分としてください。
全スイッチOFFにし、プラグを抜く
最後にバキュームスイッチもOFFにし、安全のため電源プラグをコンセントから抜きます。
本体外装を拭いて終了
本体やホースの外側を清掃し、きれいな状態で保管します。
長寿命化のポイント
フィルターの定期的な清掃で吸引力維持
使用後は完全に水抜きして保管
冬季は不凍液処理で凍結防止
電源コードの定期点検で安全確保
トラブルシューティング
主なトラブルと解決方法
症状 | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
ヒーターが温まらない | 電源問題、ヒーター故障、安全装置作動 | スイッチ・予熱・電源接続確認。安全サーモリセット試行。改善なければ要修理。 |
ブレーカーが落ちる | 同一回路に接続 | 必ず別々の回路にコードを接続(合計26A) |
吸引力が弱い | フィルター詰まり・ホース破損 | フィルター清掃、ホース点検、回収タンク確認 |
洗浄液が出ない | ポンプ故障・ノズル詰まり | ノズル清掃、清水フィルター確認、電気系統点検 |
水漏れがある | ホース接続不良・パッキン劣化 | 接続部の締め直し、パッキン交換 |
自分でできる対処
- フィルター・ノズルの清掃
- 電源コードの接続確認
- ホース・接続部の点検
- 安全サーモのリセット
- スケール除去作業
修理依頼が必要なケース
- リセットしてもヒーターが作動しない
- モーターから異常な音や振動がある
- 電源コードの焦げ・断線がある
- 内部パーツの破損や水漏れ
ヒーターが温まらない場合の対処法
スイッチはONになっていますか?
ONから4〜5分待ったか?
ヒーター用コードは接続されているか?
重要: 電源を抜いて冷却後に実施
安全サーモリセット方法:
- 電源コードを抜く
- 本体を冷却(20分以上)
- 本体内部のリセットボタン(赤または黒)を押す
- 「カチッ」と感触があればOK
修理依頼が必要
内部ヒーターエレメントの断線や内蔵ヒューズの溶断の可能性
さらに詳しい対処:安全サーモの復帰
取扱説明書9頁の「故障かなと思ったら」欄で最初に案内されている対処が安全サーモ(過熱保護装置)の手動復帰です。ユーザー相談窓口いわく、温水不良の8〜9割がこの操作だけで回復しているとのこと。
症状チェック
- ヒータースイッチONでもランプが点かない
- 予熱しても水が冷たい
復帰ボタンの操作手順
- 2本ともプラグを抜く
- 本体右下の黒カバーを+ドライバーで外す
- 銀色ヒーターチューブ端にある赤い小ボタンをカチッと押す
復旧後の確認
プラグを挿し直しヒータースイッチON→ランプ点灯→4〜6 分後に消灯すれば復旧
なぜトリップする?
- 清水不足で空焚き
- ヒーター内にスケールが詰まり流量低下
- 同一回路に他機器を繋いで電圧降下 → 過熱検知
押しても再びすぐ切れる場合はヒーター断線またはスケール閉塞が疑われます。クエン酸循環洗浄を試しても改善しなければ修理依頼を検討してください。
修理・お問い合わせ
蔵王産業カスタマーサポート
03-5600-0325
修理受付時間
平日 9:00〜17:00
まとめ・連絡先
電源は別回路に接続
2本のコードは必ず別々の回路へ(合計26A)
適切な予熱時間
ヒーターON後4〜5分待ってから使用開始
2回引き洗浄法
1回目は水噴射、2回目は吸引のみで効果的に
保管時は水抜き必須
内部の水を完全に排出し、乾燥状態で保管
フィルター清掃を定期的に
吸引力維持とポンプ保護のため毎回清掃
推奨洗剤のみ使用
専用洗剤「バルチャーブルー」を適切に希釈
これらの手順を守ることで、SPHERE 32337Jを安全かつ効果的に使用し、長持ちさせることができます。
作業効率アップのコツ
- 部屋の隅から中央へ、またはドアから奥へ向かって作業
- ヒーター加熱中に清掃場所の準備を平行して実施
- 広い面積では交互にS字パターンでストロークを取る
良好な結果を得るために
- 事前に掃除機でホコリを取り除くことで効果UP
- 頑固な汚れには事前に専用前処理剤を使用
- 作業後は風通しを良くして乾燥を促進